父:ドバイミレニアム
母:ゾマラダ
母父:デプロイ
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第1代母:ゾマラダ(Zomaradah)
(牝、1995年生、父 Deploy)
3~4歳時に6勝(10~11ハロン)。
主な勝ち鞍:
- 伊オークス(G1)
- E.P.テイラーステークス(G2)
- ロイヤルウィップステークス(G2)
- プレミオ・リディア・テシオ(G2)
ほか、BCフィリー&メアターフ(G1)3着。
産駒10頭(うち出走7頭、勝ち馬7頭):
(牝、父 Street Cry)
3~4歳時に2勝(10~12ハロン)。
● その産駒
ロイヤルチャンピオン(Royal Champion)(セン、父 Shamardal)
- ヨークS(G2)
- バーレーンインターナショナルトロフィー(G2)
- ウィンターダービー(G3)
- ウォルファートンS、ドゥーンサイドC、ケベックS
- カナディアンインターナショナル(G1)2着
- クリスタルマイル(G2)2着
- アイリッシュチャンピオンS(G1)3着
- ヨークS(G2)、ウィンターヒルS(G3)、フィールデンS 各3着
アウトボックス(Outbox)(セン、父 Frankel)
- ジョッキークラブS(G2)
- フレッドアーチャーS
- HHザ・アミールトロフィー
- ストックホルムC国際(G3)2着×3
- シルバーカップS(G3)2着
- プリ・ラ・モスコワ 2着
- ジョッキークラブS(G2)、ジョンポーターS(G3)、ジェフリーフリーアS(G3)3着
■ ドバイクイーン(Dubai Queen)
(牝、父 Kingmambo)
3歳時に1勝(8f)、サンドリンガムH 2着。
● その産駒
ロイヤルライム(Royal Rhyme)(牡、父 Lope de Vega)
- ブリガディアジェラードS(G3)
- ドゥーンサイドC
- チャンピオンS(G1)3着
- ガネー賞(G1)3着
■ 第3代母:ハイターン(High Turn)
- 3歳時に2勝。11頭出走の9頭が勝利、競走年齢の11頭の子孫には以下を含む
- ハイライズ(High Rise)1998年国際3歳馬ランキング首位(長距離)。1998年英国3歳チャンピオン(長距離)。エプソム・ダービーG1、 ダービートライアルステークス(G3、リンフィールド)、ドバイシティオブゴールドステークス(G3、ナド・アル・シェバ)を制し、4度の2着を含む成績を残す。主な2着以下:キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス(G1、アスコット)2着、ジャパンカップ(G1、東京)3着、ドバイシーマクラシック(G3、ナド・アル・シェバ)3着。日本において種牡馬として活動。
デプロイ(Deploy, GB)— 種牡馬プロフィール
デプロイ(GB)
1987年5月15日生/牡/2008年死去(21歳)
生産:ジャドモント
調教師:ロジャー・チャールトン
供用牧場:スカーヴァー・ハウス・スタッド(英国)
種付料:£2,000(2008年)
主な競走成績:愛ダービー2着
血統
- 父:Shirley Heights(シャーリーハイツ, GB) — 12f型の名馬・英愛ダービー馬
- 母:Slightly Dangerous(スライトリーデンジャラス, USA) — 名繁殖牝馬
- 母父:Roberto(ロベルト, USA) — 11f型、欧州で最も影響力のあるスタミナ源の一つ
距離適性(Race distances)
- 自身の距離指標:11.8f
- 父:12.3f
- 母父:11.2f
種牡馬としての評価
- 「高水準の12f牡馬」
- 早熟型は少ない
- 7f以上の距離で、特に秋に能力を開花させる優秀な2歳馬 を送り出す傾向
- スライトリーデンジャラス牝系の名繁殖力を背景に、堅実で強い持続力を産駒へ伝える
スライトリーデンジャラス(Slightly Dangerous, USA)
■ 概要
スライトリーデンジャラスは、競走牝馬として一定の実績を残した後、繁殖牝馬として驚異的な成功を収めた。
通算で 5頭のステークス勝馬 を送り出し、欧州クラシック勝馬、複数のチャンピオン、さらに後継種牡馬・名繁殖牝馬の母として牝系を世界的に伸長させた。
血統分析家エレン・パーカーが彼女を「レーヌ・ド・コース(競走馬の女王)」と称したのも頷ける名繁殖である。
■ 競走成績
4戦2勝・2着1回
獲得賞金:95,063ドル(英国での賞金を換算)
● 1981年(2歳)
- デューク・オブ・エディンバラS(英G1・5f・アスコット) 1着
● 1982年(3歳)
● レーティング
- タイムフォーム:122(3歳)
■ 馬体的特徴
背が高く、スラリとした栗毛の牝馬。
歩様は柔らかく流麗で、当時の関係者からも「魅力的でバランスの取れたフィリー」と評価された。
12頭の命名産駒のうち11頭が出走、10頭が勝ち上がり。
■ 主な産駒
● ウォーニング(Warning, 1985・父Known Fact)
欧州マイル路線を代表する名馬。
- 英仏2歳牡馬チャンピオン(1987)
- 英仏マイルチャンピオン(1988)
- 英3歳牡馬チャンピオン(1988)
種牡馬としても成功し、
681頭中51頭のステークス勝馬を輩出。
代表産駒に ディクタット(複数G1勝ち)。
● コマンダーインチーフ(Commander in Chief, 1990・父Dancing Brave)
日本で種牡馬入りしたが期待ほどではなく、1119頭中14頭がステークス勝ち。
● ダッシャンター(Dushyantor, 1993・父Sadler’s Wells)
チリ輸出後、
● ヤシュマク(Yashmak, 1994・父Danzig)
- 米G2フラワーボウル
- 英G2リベスデールS
繁殖として:
- Full Mast(仏G1ジャン=リュック・ラガデール賞)
■ 牝系の血統背景と影響
スライトリーデンジャラスの成功は、偉大な牝系 “Where You Lead(ウェアユーリード)” によって支えられている。
● 近親・同牝系の代表馬
● 牝系の基礎
母 Where You Lead(1973ミュージドラS勝・オークス2着)は、
- Noblesse(英オークス馬)
を通じて脈々と続く名門牝系の直系。
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Dubawi 主な勝ち馬プロフィール
レベルズロマンス(Rebel’s Romance〔IRE〕)
セン7歳 母父:ストリートクライ(Street Cry〔IRE〕)
- ブリーダーズカップターフ(G1、キーンランド、デルマー)2,400m ×2回
- ターフクラシックS(G1、アケダクト)2,000m
- オイロパ賞(G1、ケルン)2,400m ×2回
- ベルリン大賞(G1、ホッペガルテン)2,400m ×2回
- ドバイシーマクラシック(G1、メイダン)2,410m
- チャンピオンズ&チャターカップ(G1、シャティン)2,400m
- ハードウィックS(G2、アスコット)2,400m
- ヨークシャーカップ(G2、ヨーク)2,800m
- UAEダービー(G2、メイダン)1,900m
- グロリアスS(G3、グッドウッド)2,400m
- H.H.アミールトロフィー(G3、アルラヤン)2,400m ×2回
- フレッド・アーチャーS(L、ニューマーケット)2,400m
- ワイルドフラワーS(L、ケンプトン)2,400m
- 2着:ブリーダーズカップターフ(G1、デルマー)2,400m
- 3着:キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1、アスコット)2,400m ×2回
ノータブルスピーチ(Notable Speech〔GB〕)
牡4歳 母父:インヴィンシブルスピリット(Invincible Spirit〔IRE〕)
- サセックスS(G1、グッドウッド)1,600m
- 英2000ギニー(G1、ニューマーケット)1,600m
- ブリーダーズカップマイル(G1、デルマー)1,600m
- ウッドバインマイル(G1、ウッドバイン)1,600m
- 2着:ジャック・ル・マロワ賞(G1、ドーヴィル)1,600m
- 3着:ブリーダーズカップマイル(G1、デルマー)1,600m
ドラクロワ(Delacroix〔IRE〕)
牡3歳 母父:バーンスタイン(Bernstein〔USA〕)
- アイリッシュチャンピオンS(G1、レパーズタウン)2,000m
- エクリプスS(G1、サンダウン)2,000m
- ダービートライアルS(G3、レパーズタウン)2,000m
- オータムS(G3、ニューマーケット)1,600m
- バリーサックスS(G3、レパーズタウン)2,000m
- 2着:ジャドモントインターナショナルS(G1、ヨーク)2,050m
- 2着:フューチュリティトロフィーS(G1、ドンカスター)1,600m
- 2着:ゴールデンフリースS(G2、レパーズタウン)2,000m
シラウィ(Silawi〔IRE〕)
- カナディアンインターナショナルS(G1、ウッドバイン)2,400m
- ウィンターヒルS(G3、ウィンザー)2,000m
- 2着:プリ・デュ・リス(G3、シャンティイ)2,400m
リードアーティスト(Lead Artist〔GB〕)
牡4歳 母父:フランケル(Frankel〔GB〕)
- ロッキンジS(G1、ニューベリー)1,600m
- サラブレッドS(G3、グッドウッド)1,600m
- ダーレーS(G3、ニューマーケット)1,800m
- 2着:パークS(G2、ドンカスター)1,400m
- 2着:バーレーンインターナショナルトロフィー(G2、サヒール)2,000m
- 3着:サー・ヘンリー・セシルS(L、ニューマーケット)1,600m
ウォークオブスターズ(Walk of Stars〔GB〕)
セン6歳 母父:ストリートクライ(Street Cry〔IRE〕)
- アルマクトゥームチャレンジ(G1、メイダン)2,000m
- エンティサールS(L、メイダン)2,000m
- 2着:ゴドルフィンマイル(G2、メイダン)1,600m
- 2着:アルマクトゥームクラシック(G2、メイダン)2,000m
- 2着:リンフィールドダービートライアル(L、リンフィールド)2,300m
- 3着:バーレーントロフィーS(G3、ニューマーケット)2,600m
サバデザート(Saba Desert〔GB〕)
牡2歳 母父:シーザスターズ(Sea The Stars〔IRE〕)
- スーパーラティブS(G2、ニューマーケット)1,400m
ドバイフューチャー(Dubai Future〔GB〕)
セン9歳 母父:ストリートクライ(Street Cry〔IRE〕)
- ドバイゴールドカップ(G2、メイダン)3,200m
- バーレーンインターナショナルトロフィー(G3、リファ・クラブ)2,000m
- ナドアルシバトロフィー(G3、メイダン)2,810m
- ウォルファートンS(L、アスコット)2,000m
- ドバイレーシングクラブクラシック(L、メイダン)2,400m
- メイダンカップ(L、メイダン)2,810m
- 2着:ドバイシティオブゴールド(G2、メイダン)2,400m
- 3着:アスコットゴールドカップ(G1、アスコット)4,000m
インペリアルエンペラー(Imperial Emperor〔IRE〕)
セン5歳 母父:ファストネットロック(Fastnet Rock〔AUS〕)
- アルマクトゥームクラシック(G2、メイダン)2,000m
- 2着:アルマクトゥームチャレンジ(G1、メイダン)2,000m
シュガーアイランド(Sugar Island〔IRE〕)
サイレントラブ(Silent Love〔IRE〕)
牝3歳 母父:ニューアプローチ(New Approach〔IRE〕)
キングオブシティーズ(King of Cities〔IRE〕)
ダンストゥザミュージック(Dance to the Music〔GB〕)
牝2歳 母父:ノヴェール(Noverre〔USA〕)
- スウィートソレラS(G3、ニューマーケット)1,400m
マークスマンクイーン(Marksman Queen〔GB〕)
牝5歳 母父:タッチゴールド(Touch Gold〔USA〕)
トリニティカレッジ(Trinity College〔IRE〕)
- ハンプトンコートS(G3、アスコット)2,000m
- 2着:パリ大賞(G1、ロンシャン)2,400m
ザンズーン(Zanzoun〔GB〕)
牝3歳 母父:フランケル(Frankel〔GB〕)
- ネルグウィンS(G3、ニューマーケット)1,400m
ドバウィ ― 200勝の金字塔、現代血統を築く王
ドバウィの物語は、今もなお力強く紡がれている。10月21日(火)、この驚異的なダーレーの看板種牡馬は、史上3頭目となるグループ競走200勝の偉業を達成。伝説のガリレオ、デインヒルと並び、英国競馬史における“最も成功した種牡馬”としての地位を不動のものにした。
この記念すべき勝利をもたらしたのは、ウェスターバーグ牧場の生産馬で、エイダン・オブライエン厩舎に所属する2歳牝馬シュガーアイランド(Sugar Island)。カラ競馬場で行われたスタッフォードスタウンスタッドステークス(G3、芝1マイル)では、スタートから主導権を握り、ペースを支配し続けた。ウェイン・ローダン騎手の手綱に導かれ、最後まで脚色衰えず、2馬身3/4差で完勝した。
7月の未勝利戦を勝ち上がり、前走のメイヒルS(G2、ドンカスター)では3着と健闘した同馬は、王室級の血統を誇る。母ヘブンオンアース(Heaven on Earth、父ガリレオ)は、名牝マインディング、チューズデイ、エンプレスジョセフィンの全姉にあたる。今回の勝利により、ドバウィ×ガリレオ配合のブラックタイプ勝馬は25頭目となった。この“黄金配合”からは、ナイトオブサンダー、ヘンリーロングフェロー、ガイヤースら錚々たる名馬が誕生している。
23歳、なお燃え続ける血の炎
23歳となった今もなお、ドバウィの勢いは衰えを知らない。彼の血統は、欧州各地において15頭以上の後継種牡馬によって受け継がれており、その多くはすでに実績を残し、または急速に頭角を現している。
2025年シーズンも、彼の系譜に新たな輝きを加えた。5頭の新G1馬が誕生し、通算G1勝利数は61に到達。中でも、ドラクロワ(アイルランドチャンピオンS、エクリプスS)と、国際舞台で安定して結果を残すレベルスロマンスが筆頭格だ。さらに、父の遺産を象徴する存在としてノータブルスピーチがBCマイル(G1)を制し、ダーレーの未来を担う種牡馬候補として注目を集めている。
広がり続けるドバウィ王朝
ドバウィの影響は、息子や孫世代へと確実に拡大している。
- ナイトオブサンダー:競走馬・種牡馬の双方で卓越し、欧州チャンピオンサイアーの座を射程に。
- トゥーダーンホット:名牝フォールンエンジェルの活躍で種牡馬価値が急上昇。
- ガイヤース:初年度から好スタートを切り、産駒の質が評価される。
- スペースブルース:初のG1級産駒を送り出し、確かな存在感。
- ネイバルクラウン、モダンゲームズも新世代を担う注目株。
さらにザラックやニューベイといった分枝系統が欧州血統地図に厚みを加えつつある。
ドバイミレニアムの夢よ、永遠に
ドバウィは、偉大なドバイミレニアムの唯一の後継種牡馬としてその血を継ぐ。母はゾマラダー(父デプロイ)。現役時代にはナショナルS(G1)、アイルランド2000ギニー(G1)を制し、早くも非凡な才能を示した。
しかし真の伝説は、種牡馬として始まった。200頭以上のステークス勝馬を輩出し、世界中で数千万ドル規模の賞金を稼ぐ産駒を送り出してきた彼の実績は、まさに“血統革命”と呼ぶにふさわしい。
ドバウィは、傑出した現役種牡馬として、台頭しつつある種牡馬の父(サイアー・オブ・サイアー)として、さらに優れた繁殖牝馬の父(ブルードメア・サイアー)として――
欧州におけるミスタープロスペクター系の正統な継承者に君臨している。
この血筋は、支配的なノーザンダンサー系の牝馬にとって理想的な交配相手であり、ドバウィが欧州血統地図の中で極めて重要な役割を担う理由でもある。
ドバウィは毎年リーディング上位5頭に名を連ね、4度ガリレオの2位につけた。2021年はフランケルの存在により、ドバウィは3位に甘んじたものの、勝ち上がり率54%はガリレオ、フランケルをも上回った。
父であるドバイミレニアムが燦然たる輝きを放ちながらも短命に終わったのに対し、ドバウィは異なる形でその遺産を受け継いだ。
誕生から20年以上を経た今も、彼の血はサラブレッドの未来を形作り続けている。
ドバウィの名は、史上最高の種牡馬の一角として永遠に語り継がれるだろう。