【レース回顧】シャンペンステークス【ロードトゥケンタッキーダービー】

 

 

 

 

 

シャンペンステークス(G1)

 

 

□ 開催:Aqueduct

□ 日付:2025年10月4日(土)

□ 7R シャンペンステークス(G1)

□ 2歳限定/ダート1マイル(1600m)

□ 晴・良馬場

□ 賞金総額:50万ドル

□ トラックレコード:1:32.40(Easy Goer, 1989)

□ 勝ち時計:1:34.57

□ ラップ:22.53 – 44.24 – 1:07.88 – 1:20.90 – 1:34.57

区間タイム:21.71 – 23.64 – 13.02 – 13.67

 

 

 

 

【着順】

 

着順

馬番

馬名

騎手

斤量

最終着差

通過順位

オッズ

1

8

ナポレオンソロ

Joel Rosario

55

1着

1 - 1 - 1 - 1

6.97

2

9

トーキン

Kendrick Carmouche

55

6 1/2

9 - 5 - 7 - 2

7.07

3

3

ユニバース

Christopher Elliott

55

7 1/4

3 - 4 - 5 - 3

18.89

4

6

イッツアワータイム

Luis Saez

55

8 1/4

6 - 3 - 2 - 4

5

2

ストラダレ

Manuel Franco

55

12

2 - 7 - 6 - 5

6

1

カーテンコール

Ricardo Santana Jr.

55

18

1 - 5 - 3 - 6

7

4

アイアイ

Samuel Marin

55

26

4 - 8 - 8 - 7

8

7

スティックアップウィズストアガン

Luis Rivera Jr.

55

29 3/4

7 - 6 - 7 - 8

9

5

ジャストアサップ

Florent Geroux

55

大差

5 - 9 - 9 - 9

 

 

 

 

【詳細】

 

 

 

1着 ナポレオンソロ

 

 

スタートでスティックアップウィズアウトアガンの接触を受け外へ流れる。

すぐに先頭に立ち、内で3馬身離したまま速いペースを楽に刻む。

直線入口で外へ膨らんだが、追われると一気に抜け出し完勝。

 

 

 

 

2着 トーキン

 

 

バックストレッチで内から5馬身後方。

残り800mで内ラチへ寄り、残り700mから進出開始。

直線入口で7頭分外へ振られながらも、素晴らしい末脚を繰り出し2着確保。

 

 

 

 

3着 ユニバース

 

 

スタートでストラダレに接触され、さらにジャストアサップにもぶつかる大きな不利。

序盤の位置が悪くなり、リズムに乗るのに時間を要した。

直線で伸びるが上位2頭には及ばず。

 

 

 

 

4着 イッツアワータイム

 

 

道中4頭分外を先行。

コーナーでさらに外へ回され3〜4頭分外に。

直線では6〜7頭分外へ広がり、200m手前で粘るも最後に脚色鈍る。

 

 

 

 

5着 ストラダレ

 

 

スタートでふらつき、カーテンコールとの激しい接触で外へ飛ばされ3馬身遅れる。

800m地点から終始4〜3頭分外を追い続けるロス。

直線では6頭分外へ膨らみ失速。

 

 

 

 

6着 カーテンコール

 

 

スタートで外へ飛び出し、ストラダレをユニバースに押し込む形となる。

600m手前から内で追い上げたが、脚は続かず。

 

 

 

 

7着 アイアイ

 

 

やや遅れてスタート。

前で発生した接触を避ける形で手綱を引かされ7馬身後方。

残り700mから外2~3頭分を追ったが差を詰められず。

 

 

 

 

8着 スティックアップウィズアウトアガン

 

 

スタートで外へ飛びナポレオンソロへ接触

残り700mから5→4頭分外を追うが、直線入口で再び外へ振られ失速。

 

 

 

 

9着 ジャストアサップ

 

 

スタートで内に崩れ、ユニバースとの激突に巻き込まれる。

残り700mから外3〜4頭分を追ったが、直線で後退。

 

 

 

 

【勝ち馬情報】

 

 

ナポレオンソロ(Napoleon Solo)

2023年2月17日 ケンタッキー州産(牡2/鹿毛

父:Liam’s Map(Lane’s End)

母:Atomic Blonde(父 Scat Daddy)

生産:John D. Gunther & Eurowest Bloodstock

馬主:Gold Square LLC

調教師:Chad Summers

騎手:Joel Rosario

賞金:$275,000(1着)

 

 

 

 

 

 

 

シャンペンS(G1)回顧 ― ナポレオンソロ、衝撃のハイペース逃走劇

 

 

オーナーのアル・ゴールドは、アケダクトでナポレオンソロが圧勝する瞬間を現地で見届けることはできなかった。ターフマイルSに出走する別所有馬の応援のため滞在していたケンタッキーでレースをテレビ観戦し、あまりの熱烈な応援ぶりに、周囲の観客から拍手を受けたほどだったという。

 

2歳牡馬ナポレオンソロ(父リアムズマップ、母アトミックブロンド)は、10月4日のシャンぺンステークス(G1)で、2歳戦としては異例のハイラップを刻みながら、6馬身半差で他馬を置き去りにした。22.54、44.24、1:07.88、1:20.90と、古馬の短距離重賞を思わせるペースで突き進み、最終的に1マイルを1:34.57で駆け抜けた。

 

この数字は同競馬場の歴史的レコードに迫るものだ。6ハロンのレコードはケリーキップの1:07.54、7ハロンはアルタックスの1:20.04といずれも1999年の名馬が樹立した記録だが、ナポレオンソロはそれにほぼ並ぶ通過ラップで押し切ってしまった。あまりの速さに計時を疑う声も出たが、タイムフォームUSがレース映像を使用して検証した結果、ラップは正確であることが裏付けられた。

 

この異常なペースの直撃を受けたのが、1番人気イッツアワータイムだった。デビュー戦を17馬身3/4差で勝ち上がった逸材だが、ナポレオンソロを強く追走した結果、直線で失速して4着に沈んだ。一方、スタートから主導権を握ったナポレオンソロは、ジョエル・ロザリオ騎手の巧みなペースコントロールにより、直線でさらに突き放し、2番人気での完勝となった。

 

調教師チャド・サマーズは、もともと逃げる想定ではなかったと語る。「44秒台の通過を見て心臓が跳ね上がったが、ロザリオの手応えを信じていた」

血統背景には説得力がある。父リアムズマップはBCダートマイル(G1)をレコード勝ちした快速馬で、種牡馬としてもバーナムスクエア、ウィケッドウィスパー、ベイスンなど多くのG1馬を送り出している。母アトミックブロンドはスキャットダディ産駒で芝のブラックタイプ勝ち馬。牝系は仏G1馬や米クラシック勝ち馬を多数輩出する名門で、スピードと底力が融合した配合だ。

 

わずか4万ドルで購買されたナポレオンソロは、サラトガの未勝利戦を快勝しての重賞初挑戦だったが、今回のパフォーマンスは世代上位どころか歴史的レベルに肩を並べる内容だ。

この一戦だけで早熟と断じるには危険だが、異常なラップを自ら刻みながら押し切った事実は揺るぎない。クラシック戦線を占ううえで、今後さらに注目すべき存在である。