【レース回顧】ブリーダーズカップクラシック【ブリーダーズカップチャレンジ】

 

2025 ブリーダーズカップクラシック(G1)

 

 

距離: ダート 1¼マイル(約2,012m)

条件: 3歳以上

出走頭数: 14頭(+ 予備登録4頭)
天候: 晴
馬場: 良
トラックレコード: Candy Ride(ARG) 1:59.11(2003.8.24)
本年勝ちタイム: 2:00.19

 

 

 

 

 

 

ラップタイム

 

 

区間:23.04 – 45.97 – 1:10.48 – 1:35.70 – 2:00.19

スプリット:22.93 / 24.51 / 25.22 / 24.49

助走距離:15フィート

 

 

 

 

レース結果(上位)

 

着順

枠番

馬名

性齢

調教師

 

タイム/着差

 

1

5

フォーエバーヤング(JPN)

牡3

矢作芳人

 

2:00.19

 

2

7

シエラレオーネ

牡3

C.ブラウン

 

1/2

 

3

1

フィアースネス

牡3

T.プレッチャー

 

 

 

 

 

 

勝ち馬プロフィール

 

 

フォーエバーヤング(JPN)

牡3・栗毛(2021年2月24日生)

リアルスティール(JPN)

母 フォエヴァーダーリング(父 Congrats)

生産:ノーザンレーシング

馬主:藤田 晋

調教師:矢作 芳人

 

 

 

 

 

コーナー通過順位

 

 

(1/4, 1/2, 3/4, 1マイル, フィニッシュ)

 

5 フォーエバーヤング

2 / 2 / 1 / 1 / 1着

 

7 シエラレオーネ

9 / 9 / 8 / 5 / 2着

 

1 フィアースネス

3 / 3 / 5 / 4 / 3着

 

 

レース評

 

 

 

フォーエバーヤング(JPN)

 

 

ゲートで接触後、先行集団の中外へ。向正面で先頭争いへ持ち込み、第3コーナーで僅かにリード。直線入口で差を広げ、ゴール前でシエラレオーネの強襲を凌ぎ切った。

 

 

シエラレオーネ

 

 

後方内ラチから徐々に進出。馬群を割り外へ持ち出し、4頭分外を回って直線で強烈に伸びるもわずかに届かず。

 

 

フィアースネス

 

 

内で流れに乗るも3–4頭分外へ。再度内へ戻したが必要な瞬発力が不足。

 

 

ジャーナリズム

 

 

序盤外→中に入れる。向正面でフィアースネス外の好位まで進出するも直線で余力尽きる。

 

 

マインドフレーム

 

 

常に外々を回るロス。直線で先頭争いに食い下がれず。

 

 

 

 

 

フォーエバーヤング、悲願のBCクラシック制覇

 

 

— 日本調教馬として史上初の栄冠、シエラレオーネとの名勝負に終止符

 

土曜日のデルマー競馬場で行われた第42回ブリーダーズカップクラシック(G1)は、日本調教馬として史上初めての栄冠を掴む歴史的なレースとなった。フォーエバーヤング(JPN)が、宿敵シエラレオーネを半馬身抑えて優勝。これにより、今年2度目となる高額賞金G1勝利を挙げた。

 

フォーエバーヤングは2月、香港の至宝ロマンチックウォリアーを退けて2000万ドルのサウジカップ(G1)を制覇。その後もドバイワールドカップ(G1)3着(4月5日)、日本テレビ杯(10月1日)制覇と、国際的ローテーションを粘り強く戦い抜いてきた。

 

 

 

 

歓喜のデルマー、涙の日本陣営

 

 

— 42年目のクラシックに刻まれた「Japan」の名

 

レース後のデルマー競馬場は、スタンドから馬の周囲まで、日本人関係者の歓喜の輪が広がった。フォーエバーヤングがウィナーズサークルへ戻る頃には、関係者の一部が涙を浮かべていた。

ブリーダーズカップクラシックの42年の歴史で、日本調教馬が初優勝。その瞬間を目の当たりにした感動が、彼らを包み込んだ。

 

 

 

 

レース展開:鞍上の完璧な戦略

 

 

— 「馬が自然と勝たせてくれた」

 

騎乗した坂井騎手は、好スタートから2番手確保に成功。内から先手を奪ったコントラリーシンキングの直後という絶好位でレース前半を進めた。

 

中間のラップは

23.04 – 45.97 – 1:10.48

これは、シエラレオーネ陣営のチャド・ブラウン調教師がペースメーカー役コントラリーシンキングを起用した狙い通りで、一昨年の超ハイペースほど速くはなかった。

 

第二コーナーを過ぎてコントラリーシンキングが脱落すると、フォーエバーヤングは1マイル通過1:35.70で先頭へ。その後ろからマインドフレーム、ジャーナリズムが追撃を試みたが直線で力尽き、代わって内のフィアースネスと大外のシエラレオーネが襲いかかった。

 

坂井は「馬が自然と勝たせてくれた」とレースを振り返り、矢作調教師のレーシングマネージャー安藤博志氏によって日本語から英訳された。

 

フォーエバーヤングはフィアースネスに次ぐ2番人気(単勝9倍)での勝利となった。

 

 

 

 

敗れしライバルたち

 

 

2着 シエラレオーネ

 

 

「勝てると思ったが、勝馬は止まらなかった」とプラ騎手。

ブラウン調教師も「今日のメイントラックはスピード馬に有利だった」と話し、追込脚質のシエラレオーネには向かない馬場であったことを認めた。

 

 

3着 フィアースネス

 

 

2023年の最優秀2歳牡馬。プレッチャー調教師は「内枠が厳しい位置取りだった」としつつ、「この馬は3年連続ブリーダーズカップ出走で3年とも好走した、本当に素晴らしい競走馬」と称えた。

 

 

4着 ジャーナリズム

 

 

今年の3歳戦線で最も勢いのあった存在。フィアースネスを2¼馬身抑えたが、勝負圏内には届かなかった。

 

レース後、シエラレオーネとフィアースネスは来年クールモアアメリカ(アシュフォードスタッド)で種牡馬入りが発表された。

 

 

 

「夢がかなった」— オーナー藤田 晋

 

 

フォーエバーヤングのオーナー藤田氏は、このクラシック制覇を「夢の実現」と語った。

 

同馬は米国では苦戦が続き、

 

 

 

と、あと一歩届かないレースが続いていた。

 

「フィアースネスとシエラレオーネはこれで引退。この2頭と同時に戦う最後のチャンスだった」と、感慨深く語っている。

今回の勝利で賞金は364万ドル(約4.2億円)を加算し、

通算賞金は1,935万8,590ドル(約24億円)に上る。

 

 

 

 

年度代表馬争いへの影響

 

 

過去41回のクラシック勝馬のうち16頭が後に北米年度代表馬となっている。

しかし、今年北米での出走がクラシック1戦のみであるフォーエバーヤングが、主要メディア投票で首位を走るゴドルフィンのソヴリンティを逆転することは難しいと見られている。

 

エクリプス賞の発表は2026年1月22日。

 

矢作調教師はフォーエバーヤングについて、

 

 

 

とコメントした。

 

来秋のブリーダーズカップはキーンランドで開催される。

「キーンランドは寒いので…考えさせてください」と冗談を交えて語った矢作調教師だが、熱意は冷めそうにない。

 

 

 

 

そして、記録的勝利で締め括る

 

 

残り1ハロンを1馬身半リードしたフォーエバーヤングは、シエラレオーネの並びかけを凌ぎきった。

最終タイム2:00.19は、

 

  • 昨年のシエラレオーネ優勝タイム 2:00.78 を大きく上回る
  • フライトライン(2022年)2:00.05 に次ぐ近年の高速決着

 

 

となった。

 

日本調教馬として初めてクラシックの頂点に立ったフォーエバーヤング。

その歴史的勝利は、世界の競馬史に鮮烈に刻まれた。