米国スピード指数体系 完全比較ガイド
■ Part 1：Equibaseスピード指数（Over D / Equibase Speed Figure）
概要
- 米国競馬の公式スピード指標（Equibase社提供）
- レース終了約1時間後に公開
- 過去20年以上の全米レースをカバー
- 距離・馬場状態を自動補正するAIアルゴリズム搭載
- 目的：異なる距離・馬場でのパフォーマンスを同一スケール上で比較可能にする。
設計理念
- 基準値100：平均的な勝ち時計を示す。
- 高い数値ほど優れた走り（例：130台＝歴史的ハイパフォーマンス）。
- 補正対象：
- 距離・馬場・気象条件・競馬場特性。
- スピード換算は完全自動処理（人間介入なし）。
歴代最高値例（Equibase Speed Figure）
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馬名 |
指数 |
備考 |
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Skip Away（スキップアウェイ） |
136 |
歴代最高値の一つ |
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Silver Charm（シルヴァーチャーム） |
135 |
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ダービー馬一覧 |
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Authentic（オーセンティック, 2020） |
116 |
9月開催 |
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Justify（ジャスティファイ, 2018） |
112 |
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Medina Spirit（メディナスピリット, 2021） |
110 |
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Country House（カントリーハウス, 2019） |
107 |
降着による繰上勝利 |
傾向と注意点
- 秋開催のほうがスピード指数が高く出る傾向。
- 秋季は乾燥馬場で時計が速くなる。
- 馬の成熟度が上がる時期。
- 例：2020年（9月開催）Authentic の指数116は、5月開催年の平均を約4ポイント上回る。
国際レーティングとの関係
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指標 |
内容 |
評価軸 |
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Equibase Speed Figure |
レース当日の絶対的スピード |
実走時計ベース |
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World’s Best Racehorse Rankings |
対戦相手・着差・国際比較 |
➤ Equibase = “How Fast?”
➤ レーティング = “How Good?”
■ Part 2：Beyer Speed Figure（ベイヤー・スピード指数）
概要
- 開発者：Andrew Beyer（アンドリュー・ベイヤー）
- 導入：1970年代。現在はDaily Racing Form（DRF）公式指数。
- 目的：馬の実際の走破タイムを、馬場や距離を超えて比較可能にする。
計算構成要素
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要素 |
内容 |
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① 最終タイム |
実際の走破時計。 |
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② 距離補正（Distance Variant） |
短距離では1秒の価値が大きく、長距離では小さい。 |
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③ 馬場補正（Track Variant） |
当日の馬場の速さ・遅さを補正。 |
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④ レースレベル補正 |
出走馬の平均的能力を反映して微調整。 |
概念式：
Beyer指数 = 基準値 −（補正係数 × タイム差）
平均的な勝ち馬：BSF=100前後
G1級：110〜120台
歴史的名馬：130前後
代表的高指数例（Beyer）
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馬名 |
指数 |
備考 |
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128 |
Breeders’ Cup Classic (2004) |
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122 |
Travers S. (2016) |
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Flightline |
126 |
Pacific Classic (2022) |
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Justify |
107〜114 |
2018三冠シリーズ平均 |
計算の特徴
- 人間による日別馬場補正（variant）の判断を含む。
- コースごとの「歴史的平均タイム」を基準に補正。
- 同一馬場で異なる日でも指数を比較できるよう標準化。
■ Part 3：両者の比較
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比較項目 |
Beyer（BSF） |
Equibase（ESF） |
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開発者 |
Andrew Beyer（個人） |
Equibase社（公式） |
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公開媒体 |
DRF紙面 |
Equibase公式サイト |
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計算方式 |
半手動＋判断補正 |
完全自動（アルゴリズム） |
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カバー範囲 |
主要場中心 |
全米全レース |
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補正対象 |
馬場・距離・クラス |
馬場・距離・ペース |
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指数スケール |
平均=100 |
平均=100 |
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特徴 |
“経験的精度” |
“統計的精度” |
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高指数例 |
Ghostzapper 128 |
Skip Away 136 |
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主用途 |
ベッティング分析 |
公式記録・統計研究 |
■ Part 4：換算目安（Equibase ↔ Beyer）
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Beyer指数 |
Equibase換算目安 |
評価レベル |
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130 |
約138〜140 |
歴史的超一流 |
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120 |
約127〜130 |
世界級 |
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110 |
約117〜120 |
G1級 |
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100 |
約106〜108 |
重賞級 |
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90 |
約95〜97 |
準重賞〜条件戦 |
■ Part 5：ハンディキャップ活用戦略
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戦略 |
内容 |
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直近指数の比較 |
最新レースで最も高いスコアを記録した馬を中心に分析。 |
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安定性チェック |
100以上を連続記録している馬は信頼性が高い。 |
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上昇傾向分析 |
直近3戦で指数が上昇していれば状態良化のサイン。 |
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コース適性 |
同一コースで高指数を記録した馬は再現性が高い。 |
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他指標併用 |
Timeform USやTrakus Paceなどと組み合わせて精度向上。 |
■ 結論
ベイヤー指数＝経験的な人間の感覚精度
エクイベース指数＝客観的なデータ精度
両者を併用することで、
- 「馬のスピード」＋「相手関係の強さ」
という二軸分析が可能となる。
現代ハンディキャップの基礎は、この二体系の理解から始まる。
